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二世帯住宅を建てたい!【8】二世帯住宅にするメリットとは?

二世帯住宅は、なんだか気乗りしないという人が多いでしょうか。

「お姑さん(お嫁さん)やお舅さん(お婿さん)と対立したらどうしよう」
「毎日、顔を合わせて、ごはんも一緒でとか気づまりしそう」
「生活を監視されそう...。生活に口出しされそう...」
「孫はかわいいけれど、お嫁さんと仲良くできるかしら?」
このような印象がいまだに根深い二世帯住宅。

たしかにこのような目にあい、同居をやめることになったりもあることでしょう。でもメリットもたくさんあるのです。

●家事を頼むことができる
●留守のときの対応(洗濯物を取り込んでもらう、宅急便を受け取ってもらう、旅行で留守にしていても家に誰かがいるなど)
●何か困ったときにお願いできる
●子供や孫など話し相手がいる
●育児の手助けを頼める
●介護が必要になったときに助けられる
●相続時の税金を抑えられる
●光熱費の折半やまとめて安くできる

事前に気を付けておくべきポイントを踏まえつつ、「二世帯にして、よかった」と思える家作りになればと思います。

目次

助け合える距離

"お鍋が冷めない距離"という言葉があります。

二世帯は、まさにその言葉通り。同じ町内などの近くに住むとは違い、同じ建物内、もしくは同じ敷地内に同居をするので、まさにお鍋は冷めません。むしろ一緒に食卓を囲むということも。完全同居、一部同居、完全分離。どのタイプの二世帯でもお互いに助け合うことができます。

完全同居:同じ建物内に同居するので、お互いの生活がよくわかるし、助け合いやすいでしょう。その代わり、干渉しすぎるという可能性もあります。

一部同居:玄関やリビング、お風呂が共有でもプライベートな空間などは別々です。リビングが共有スペースだと、相談がしやすかったりも。

完全分離:玄関から別々なので、プライベートが保たれます。そのため、二世帯なのにまったく会わないということも......。相手世帯のことを気にかけることを心がけるといいでしょう。

親世代の悩みとしては、老後でしょうか。健康なときはいいのですが、病気をしたり、介護が必要になったり、配偶者と死別したりとしたときに、頼りにしたいのが子世代です。話し相手として、病気のときや介護を頼んだりしたいものです。

そして、老後のことを考えた間取りにすることをおすすめします。共有スペースであるリビングやお風呂などが上階にあると、足腰が弱ったときに階段を昇るのが大変になります。共有スペースは、親世代の階に作ったり、別々にしたりなどが必要です。また、いざ介護が必要になったときに、車いすでは通れない、段差が多いとなると困ります。さらに普通のベッドより大きいリクライニングベッドなどが入らない、スペースがないということも。間取りを考えるときには、将来のことを見据えることが必要です。

子世代の悩みは、子育て。夫婦で共働きをしているときなど、親に子供を見てもらったり、食事をお願いできたり、幼稚園や保育園の送り迎えを頼めたり...ということが可能になります。メリットがたくさんですが、注意したいのは慣れ合いになってしまうということ。いろいろやってもらうことを当たり前と思わずに、感謝する言葉を伝えたりしましょう。親としても、孫のお世話は親世代にとっても体力を使うものです。孫はかわいいけれど、しんどいと思うこともあることでしょう。感謝されたいから孫育てをしているわけではないものの、やはりひと言あってもいいのではと思うところは、あると思います。

同居をしていて、実際に助かったということは、急な雨などのときに洗濯物を取り込んでくれた、雨戸を閉めてくれた、宅急便を受け取ってくれた、家事をしておいてくれたなど。このようなことは、ささやかなことですが、毎日の生活でとても助かる点です。

助かる金銭面

次は、金銭面。

二世帯を建てるときは、通常の一軒家を建てるよりはやはり割高になります。

具体的に考えてみます。通常の一軒家で、2階建て3階建てともに30坪程度の延床面積の場合、二世帯となると、2階建て3階建てともに40坪程度の延床面積になります。

・床面積10坪の増坪
・玄関ドア1本追加
・設備機器一世帯分追加
・給排水、ガス、電気系統をそれぞれ1系統追加

例えば通常の一軒家を2100万円とした場合、それに相応する二世帯は、2850万〜3200万円くらいが目安です。

どこまで共有設備にするかにもよりますが、玄関、お風呂、リビングなどを世帯で別々にするとなると、それぞれかかります。しかし、親と子とでそれぞれに家賃を払って別々のところに住むよりは、トータルで考えると安くはすみます。さらに、ご予算に合わせた二世帯を叶えるために、共有部分を増やしたり、面積を抑えたりといったことも可能です。

また電気、水道、ガスなどの光熱費をどちらかがまとめて払うと安くなります。しかし、ここはもめるポイントにもなるので注意が必要。どちらかがまとめて支払っていると、支払っていない方の使い方が気になったり、気を使ったりしてしまいます。光熱費の支払いについては事前に話し合いましょう。ひとまとめにするか、別々にするかで配線や水道の配置にもかかわるので早めに決めておきたいところです。

住宅を新築するときには、不動産取得税、固定資産税などが要件にもよりますが、軽減措置を受けることができます。

「構造上に独立していること」
「利用上に独立していること」
を満たしていることが条件になります。

※地方自治体によって、この要件は変わることがあるので、お住まいの自治体にご確認ください。

また相続税も、同居家族には減税の特例があります。「小規模宅地等の特例」というもので、適用条件によりますが、減額が可能です。二世帯として住んでいるもののそれぞれが別世帯として登記していると、この特例が適用されません。

税金の優遇措置などは、個人で判断せずにハウスメーカーや地方自治体、税の専門家などに相談をしましょう。住宅ローンなどの話も事前に説明を受けたうえで検討するといいでしょう。その際には、今後の大きなお金のことなので、親世代・子世代で一緒に聞きに行くことをおすすめします。ちゃんと今後のお金についてお互いに話し合える間柄であれば、二世帯で住んでいくことも問題ないといえるでしょう。

金銭面は、何かともめやすい問題です。無駄なトラブルを起こさないためにも二世帯を考えたときに相談しておくことが大切です。

心をささえる距離

最後にメンタル面でのささえです。

何かと物騒な世の中であったり、異常気象による災害なども起こりやすい...不安になったときに、親世帯や子世帯が近くにいるというだけで心強いものです。建物は別棟だとしてもそばにいるという安心感があります。

また、親世代は高齢になるにつれて、思うように体が動かなくなったり、気持ちが落ち込んでしまうこともあるかもしれません。そんなときに孫の成長に携わることができると、気持ちにハリがでてきます。また孫としても、核家族の多いなか、大家族と暮らすことを体験することができ、祖父母に対する尊敬の念や、教わることも多いことでしょう。

そして親世代では、配偶者が先に亡くなったり、施設へと入所することになったりするかもしれません。残された方を子世代が間近で気にかけることができます。亡くなった悲しみも子世代と暮らすことで紛らわすことも。

今どきの親世代は、独立志向が高めといわれています。団塊世代あたりは、子世代の独立やプライバシーを尊重する傾向にあるようです。そのため過干渉を避けたいという思いもあるため、気苦労をしないですむかもしれません。

しかしプライバシーを尊重する場は、間取りを考える時点で意識して設けるようにしましょう。同居の相手世代を気にせずにお客さんを呼びたい、趣味を楽しむ部屋がほしい、一人になれる場所がほしいなど、それぞれ自由に使える空間(部屋)は必要です。"誰でも使える部屋"というのを作っておくといいかもしれません。

メリットの多い二世帯にするためには、事前の話し合いや間取り決めが重要です。今や少し先のことだけではなく、親の老後、親が亡くなったあと、子供が成長して自立したあとなど、もっと先を見据えてみましょう。