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二世帯住宅を建てたい!【7】親世代、子世代と同居するということ

かつては結婚したら相手の親と同居するということが当たり前でした。しかし嫁姑問題が起こったり、過干渉により仲たがいをしたりというマイナスイメージもついている同居。

しかし、今ではお互いのメリットを求めて、あえて同居をする家庭が増えているとのこと。共働きをしている世帯が増えているので、日常の家事の協力、孫育児のサポートはとても助かります。また、いざ介護となったときは近くに家族がいることは、心の支えとなりサポートも受けやすくなります。そして土地・資金の助け、生活費の削減、税金の優遇措置など経済面でもメリットがあります。

目次

将来のことを考えた間取りにしていますか?

間取りを決めるときには、みんなの希望や理想が詰まったものにしたいものです。しかし、建てたら長く住むのが家です。将来的なことを考えた間取りにしているでしょうか。

親世代に考えてもらいたいのが、将来、介護されるときのことです。今は元気で、足腰も問題なく日常生活を過ごせているかもしれません。しかし、いつかは介護されるという可能性もあることを考えましょう。施設に入所する場合は別ですが、訪問介護の場合は、家で過ごします。

バリアフリーを心がけたものの、車いす生活になったのに車いすが入らない、車いすだと動きにくい間取りになっているということも。また、リクライニングベッドを使うことになったとき、自分の部屋に入れることができないということがあるそうです。

そしてお風呂場、トイレ、廊下、玄関の段差のところなどに手すりがあると便利です。こちらはあとから付けることも可能です。

家のなかの段差を極力減らすバリアフリーは、最初からしておくといいでしょう。高齢になると、足腰が思いのほか弱り、ちょっとした段差で躓いてしまうことがあります。

二世帯を建てるとき、親世代を1階にし、子世代が2階に住むということがみなさん多いです。みんなで集まるリビングもできれば親世代のところに作るといいでしょう。先ほどのように足腰が弱り、階段を上り下りすることがつらくなり、動くことが億劫になってしまうこともあります。

また、共同のトイレ、お風呂、洗面所などを上階に作ると、これも親世代が使うには難しくなってきます。親世代のスペースにそれらを配置するか、世代ごとに別々に配置するようにしましょう。

そして、資金面や広さで可能であれば、エレベーターがおすすめ。狭い土地でも3階建てにして、エレベーターを設置すれば階段も億劫になりません。

空き部屋が出るということも考える

部屋が空くという可能性も考えているでしょうか。

親世代は、もし亡くなったら、施設に入所することになったら空きます。また残された1人で住むという可能性もあります。

子世代は、子どもの成長により独立して家を出たり、仕事の都合で転勤や引っ越しなど生活に変化が起こりやすいことも。突然に子世代が一家で出ていくという可能性もあります。

部屋が空いてしまった場合、その後どのようにするとよいでしょうか。

完全分離タイプ(玄関も設備もすべて別々な場合)であれば、賃貸として貸し出すことも可能です。ただ、アパートやマンションに比べてとても近い距離間となるので、貸す相手に限りがあるかもしれません。

現実的なこととしては、残された世代が使う、またはリフォームして二世帯から通常の一軒家としてしまう方法もあります。

間取りを決める段階で、このことを建築のプロに相談してみるのもいいでしょう。部屋の作りをシンプルにし、どの世代でも使えるようにしたり、間取りをリフォームしやすい構造で建てておくこともいいでしょう。もしリフォームにする場合は、1階をリフォーム中のときは、2階で過ごせるので仮住まいする必要はありません。

二世帯は、中古で売りにくいとされています。世帯に合わせた作りになっているからです。せっかく建てた我が家ですし、手放すのではなくリフォームや建て直しなどをして長く住んでいきたいものです。

ストレスフリーの家にする

同居をするというと、些細なことでもめてしまうことがあります。人間関係があるので、それは仕方のないこと。では、お互いがストレスを感じないためには、どうするといいのでしょうか。

次のことを意識してみましょう。

● 両家それぞれの文化がある

それぞれ育った環境や生活によって、考え方や価値観が違うもの。相手の文化を尊重しましょう。

● 生活リズムを理解する

子世代と親世代では、生活リズムが違います。相手の生活リズムを理解し、ストレスにならない間取り作りをしましょう。

● 親子間での甘えやわがままに注意する

親子間には、遠慮がないのでつい甘えがち。依存しすぎてしまい、配慮が欠けてしまうことも。相手が不満を感じているかもしれません。

● 精神面のプライバシーを守る

外出時に行先を聞いたり、相手の専用スペースに無断で入ったりということがストレスになることも。適度な距離感をおいておきましょう。物理的にプライバシーを守るために、両世帯を行き来できる扉にカギをつけるということもいいでしょう。

いろいろと事前に考えておかないといけないことが多いと感じるかもしれません。しかし、これらを最初から考えておくかどうかで心のもちようが変わってきます。

◎「いってらっしゃい」「おかえり」のあいさつはするものの、そのあと詳しくは聞かない。
◎親しいお隣さんという感覚。
◎干渉しないけれど、困ったときには助け合う。

このような考え方で同居生活を過ごしてみると、ストレスフリーな生活になるかもしれません。

いろいろ面倒と感じるかもしれませんが、二世帯で同居することのメリットはまだまだあります。

● そばにいるという安心感

元気な様子を近くで見ることができ、気配を感じることは安心します。逆にちょっとした変化も見過ごすことなく気が付くこともできます。

● 子どもの成長にプラス

祖父母と過ごすことで食育や伝統しきたりなどを知ったり、礼儀などが身につくという成長にプラスなことも。年配者を大事にする子どもに育ちます。

● 親世代の生活にハリがでる

子世代の日常生活の手伝い、孫育児のサポートなどをすることで生活にハリが出て、気持ちも若々しくいることができます。夫や妻に先立たれたときなども、子世代と同居していると話し相手がいるし、さみしい思いをせずに過ごせます。

● 留守やペットの世話を頼める

旅行に行くときに、ペットの世話を頼めたり、留守の間、雨戸の開け閉めをしてもらったりしやすいです。また留守をしているけれど、子世代または親世代が家にいるということが気分的に安心感をもたらします。

● 経済面で助け合える

子世代だけでは建てられなかった家を親世代がカバーしたり、親世代では組めないローンを子世代が組む代わり生活費を払うなど、経済面で助け合うことができます。

問題点などは、間取りで解決することも多いので、建築のプロに相談が一番です。「こんな細かいこと聞いてもいいのかな」と思わずに、なんでも聞いて相談してください。建ててから後悔するより、事前にいろいろと相談し、解決してから建てれば、長く住んでもストレスフリーな家になります。二世帯同居にはメリットがたくさんあります。理想の二世帯を建ててみましょう。