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第三章 業者選びのポイント10 書類のつくり方


書類の質で会社の姿勢がわかる

 「書類のつくり方」も、その会社のレベルを知る重要な手がかりです。
 優良会社の審査の際に気づいたのですが、私か知る限り、信頼できる会社の書類はしっかりしている傾向があります。
 それだけお客様に説明責任を果たそうとする意識が働いているからです(わかりやすい書類をつくるために省略しているケースもあります)。
 書類での確認や説明を徹底している会社は、書類の作成にも力を入れています。書類によっては上司の判を受けて、社内で確認してからお客様に提出する仕組みを取っている会社もあります。ダブルチェックなどをしっかり行っているのです。このような仕組みは、比較的大きな会社では当たり前ですが、街なかの業者では決して多くはありません。
 きちんと書類を残しておけば、のちのち「言った、言わない」というトラブルを防止できます。ですから、口頭での説明に頼らず、書類の管理を徹底している会社を選んだほうがよいでしょう。
 書類のチェックのポイントは大きく2つあります。
 1つは、「見やすさ・わかりやすさ」です。お客様から支持されている会社の書類に共通しているのが、見た目のわかりやすさです。図面と仕様書、プレゼンシートが整っていて照合しやすいのが最低条件です。ちなみに、見積もり書の詳細は理解するのが難しいので、それほど神経質になる必要はないと思います。細かな木1本の詳細を知ることよりも、仕様書に基づいた図面の家が全部でいくらかかるかを知ることが重要です。
 2つめは、「お金のやり取りがはっきりしていること」です。
 工事の追加変更や、それに伴う金額の変更についてその都度書類で確認しているかどうかです。
 なかには、契約に変更があっても「最後に精算します」と言う業者も存在します。それでは、お客様は総額がいくらになったのか不安になります。
 ここで「追加変更があった段階で書類を出しますので、その書類に判をいただいてから工事を進めます」と言われれば、不安は解消されるに違いありません。

「一般的に提案される書類を見せていただけますか?」
「金額などに変更があったときには、どのように対応されていますか?」
「変更があったときには、どのぐらいの日数で書類を出していただけますか?」


 書類基準を知るには、こういった質問が有効です。その会社が書類に対してきちんと対応していれば、すぐに回答を得ることができるでしょう。

できる営業マンは議事録を取っている

 書類に関して言えば、初回の打ち合わせ時に「打ち合わせシート」や「議事録」をしっかり取っているかもチェックしておきましょう。
 できる営業マンは例外なく丁寧なヒアリングをしています。そして詳細なメモを取る習慣を持っています。一方で、現実にはお客様の話を「聞いているだけ」という営業マンも少なくないので要注意です。









 打ち合わせ時の記録は、家づくりのプランに直接反映されます。人間の記憶などは、あまり当てになりません。例えば、打ち合わせの当日や翌日にプランをつくるのなら、メモがなくてもそれほど問題ないかもしれません。しかし、3~4日も経つと、何を打ち合わせたのか、部分的に忘れてしまうのが普通です。
 そのため、でき上がったプランに「私か言ったことが入っていない」ということになるのです。
 私の会社では、3枚綴りの打ち合わせシートを活用しています。複写式になっているものであり、一番上に営業担当者が記入し会社控え、2枚目は担当者本人の控え、3枚目がお客様控えとなっています。
 この打ち合わせシートには、商談の内容をすべて記録します。そして商談が終了するごとに、お客様に内容についての確認サインをいただいています。
 打ち合わせシートに基づいてプランを作成するため、お客様の意向は正確に反映されますし、あとから「言った、言わない」というトラブルも防止できます。
 最低限きちんとメモを取っている会社を選ぶのをおすすめします。
 なお「契約書」については、事前にコピーをもらっておくとよいでしょう。そして、住宅の性能保証、完成保証、とくに特記事項などに問題がないかを確認しておいてください。
 契約の場でいきなり契約書を見ても、何か書いてあるのかよくわからないというのが普通です。
 事前のコピーを読んで、問題がないかを確認した上で正式にサインをするのが安全です。
 契約書についてわからない内容があれば、事前に確認しておくことも大切です。