あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第三章 業者選びのポイント9 業務の請負い方


家づくりのスタッフ体制はどうなっているのか

 一般的に、営業マンとの打ち合せ段階の話か設計や現場に伝わっていない、というのはよくある話です。同一社内でもそうしたことが起きないように、お客様と打ち合わせた内容を、設計者や管理者を交えて検討しておく必要があります。
 お客様の要望を、現場の視点、設計者の視点、営業の視点などから確認することで、設計から現場に至るまでの共通した理解を深めます。
 請負体制をしっかりと社内で構築しなければ、設計と現場の息が合わなくなります。営業、設計、現場が最高のチームワークで結束してこそ、よい家に仕上がります。
 もしこれが設計と現場が分離発注であれば、現場での意見の食い違いが生じてしまうのはある意味当たり前と言えます。
 最近は、お客様が自分で設計事務所や工務店を探すことができるサイトがありますが、そこで設計事務所と工務店を個別に選んで依頼したとしても、おそらく家づくりはうまくいかないのではないかと思います。
 設計事務所は、もちろんこだわりを持って設計をするのでしょうが、そのこだわりがわかっている工務店と、わからない工務店とでは仕上がりに大きな差が生じてしまいます。とくに、その設計事務所のやり方に不慣れな工務店が施工する場合、日数もかかる分だけ費用も高くなったりします。
 職人としても、よく知らない設計事務所から慣れない仕事を受けて、指示も細かく、なおかつ細かい納まりについてが万が一、施工会社任せになったら、モチベーションが下がるのも当然です。こうした低いモチベーションで建てられた家は、決していい家とは言えないでしょう。

設計と施工のつながりをチェック

 もし設計事務所の意図とは別に施工が進んでいった場合、誰が管理するかというと、結局はお客様本人にほかなりません。しかし、そこで判断を求められても、素人ではいかんともしがたいものがあります。最終的には、お客様が泣くことにもなりかねないのです。
 ですから、私は基本的に「分離発注はしない業者に頼む」という考えを持っていたほうがよいと考えます。
 「施工業者と円満で密な付き合いがあるのか」。これが設計事務所を選ぶときの一番のポイントです。

「工務店さんとどういうお付き合いをされていますか?」
「設計から施工までの管理体制はどうなっていますか?」
「職人さんは、いつも同じメンバーですか?」


 設計事務所に対してはこういった質問が有効となります。
「うちは、3代続けて同じ工務店さんとお付き合いがあるのですよ」と言われたら安心するでしょうし、答えに詰まるようでしたら問題ありと考えたほうがよいでしょう。

いいスタッフが「いい家」をつくる

 家づくりというのは、長い時間のなかでたくさんの大が携わる一大プロジェクトです。そのため、たくさんの人の意思統一が必要となってきます。
 きちんと意思統一がなされ、スタッフがしっかりしていると感じる会社は、経営者が礼儀、マナー、建築知識などを教育しているパターンがほとんどです。
 会社の大小を問わず、正しい教育にコストを投資している会社は、スタッフのレベルが当然高くなります。当たり前と言えば当たり前ですが、いい家はいい職人・スタッフがつくり、いい職人・スタッフはいい教育によってつくられます。
 工務店の教育体制を確認するには、

「職人さんやスタッフに対してはどういう教育をされていますか?」

 などの質問をするのかよいでしょう。
 また意思統一と関連して、家づくりへの「想い」を共有することも大切です。
 昔から職人は、義理人情で家をつくるというメンタリティを持っています。関係する工務店を信頼して「この工務店の仕事だから協力する」という付き合いのなかから、いい仕事が生まれるという構造があります。これも一種の意思統一だと思います。
 私も日常の接触と併せて「協力業者会」という機会を通じて職人さんと密にコミュニケーションを取り、家づくりへの「想い」を共有しています。

「家づくりについて、どういう想いを共有していますか?」

 このような質問を投げかけて、家づくりへの想いやその共有の方法を確認しておくのもよいでしょう。