あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第三章 業者選びのポイント18 環境への配慮


環境にいい家は、家計にもいい家

 「その会社がどのような環境配慮意識を持っているか」も確認しておきましょう。そもそも家づくりは環境に負荷をかける行為です。この環境負荷をいかに減らすかを考えている会社は、意識が高く先進的な会社であると判断できます。それは、家づくりという事業そのものが環境に負荷をかける行為であり、その認識が根底にあると言えます。

「環境に対してどのような配慮をして、住宅を建てていますか?」

と質問をしてみましょう。
 大手メーカーは「エコ住宅」などを全面的に出しながら営業をしていますが、小規模な会社でも環境への配慮に取り組んでいる会社は見つかります。
 環境に配慮している会社を選ぶことは、地球環境はもとより、建主自身にもたくさんのメリットをもたらします。
 例えば、電力消費の少ない家ができれば、光熱費を大幅にカットすることができます。太陽光発電の取り組みも、その趣旨に合うものですし、私たちが取り組んでいる「熱を入れない家」も同様の意識から生まれたものです。
 光熱費は自動引き落としにしている家庭が多いためか、商談時にお客様に「毎月の光熱費はどれくらいですか?」と尋ねると首をかしげる方も多くいます。
 実際には住宅ローンと同じように毎月数万円は支払っているはずなのに、どうしてもローンのことばかりに注意が向きがちです。しかし、光熱費が安くなればその分豊かな生活を送ることができるでしょうし、住宅そのものにもっとお金がかけられるかもしれません。
 私は、環境配慮をすることによって「生涯光熱費が仮に1000万円かかるとしたら、600万円も、700万円も対策次第では得します」と説明する場合があります。
 つまり環境に負荷をかけない家を提案してくれる会社を選ぶことは、相当な金銭的メリットを得ることにつながる場合があるのです。

イメージだけでエコ住宅を選択してはいけない

 ただし、「環境にいい」「電力消費が抑えられる」というイメージだけでしっかりと理解しないまま商品を選択しないように注意していただきたいと思います。
 例えば、省エネのために「オール電化住宅」を選ぶというお客様がいらっしゃいます。たしかに一定のメリットがあるシステムであるとは思います。
 ただし、「オール電化」は電力料金が時間に応じて変化する仕組みであり、昼間は夜間の3倍の電気代がかかります。共稼ぎ家庭のように、昼間は不在にしていて夜間にしか電気を使わない家庭にとっては大きなメリットがある一方、高齢者世代のように昼間に在宅している家庭や昼間の電気消費量の多い家庭では却って光熱費が高くなるという事実もあるのです。
 会社としても、そういった情報はきちんと説明する義務があると思います。そうでなければ、何のための省エネかという根本がずれてしまいかねません。
 いずれにせよ、環境負荷をかけない家は、これからの主流になることは間違いありません。環境にもやさしく、住む人にもメリットのある住宅を提案できるかどうかを正しく見極めていただきたいと思います。