あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第三章 業者選びのポイント17 倒産に備えた安全対策


もしも建築途中に会社が倒産してしまったら......

 今は、会社がいつ倒産してもおかしくない時代です。もちろん住宅業界も、この厳しい世情と無縁ではありません。
 もし自分の家が建てられている途中に、施工会社が倒産してしまったらどうしますか?
 なかには、信頼して大工さんにお金を預けたところ、その大工さんが消えてしまったなどという話もあります。
 考えたくもない話ですが、最悪の事態も想定して対処しておくに越したことはありません。
 こういった問題への対処として、例えば「住宅完成保証制度」という仕組みがあります。
 従業員300人以下の会社を対象とした保証制度であり、万一会社が倒産した場合、工事の中断や引き継ぎに伴う一定の費用を保証するものです。工事は、制度に加入している別の会社が受け継いで、完成までフォローしてくれます。
 つまり、この保証制度に加入している会社に依頼すれば、万が一の事態が起きても安心です。
 この保証制度は、しっかりとした審査を通った会社のみが登録できます。供託金の支払いも必要なため、保証制度に加入しない会社もありますし、審査が通らなくて加入していない会社もあります。加入しているのは、住宅会社のおよそ3割程度です。
 完成保証の仕組みがあるかどうかは、

「会社が倒産した場合はどうなりますか?」

 という質問で確認しておきましょう。
 商談をしていくなかで、担当者を信頼してお任せするのはよいことだと思います。ただ「すべてお任せする」というスタンスになってしまうと、こういった安全性のような大切なことが聞きにくくなり、うやむやなままになってしまうケースがあります。
 でも、2000万円も3000万円もする買い物をしようとしているのですから、遠慮は無用です。最低限の確認事項は明確にしておくべきだと思います。
 また、完成保証と関連して、地震などの災害に対しての保証制度についても確認しておくとよいでしょう。
 私の会社では、木造部30年の地震保証をつけるという業界初の取り組みを行っています。
 もちろん形態はいろいろでしょうが、信頼できる会社は何らかの仕組みを持っているはずです。
 大切なのは「その会社が顧客の安全性をどう考えているか」です。保証制度に加入しているかどうかは、それを知る上での1つの手がかりということです。そうした会社は、顧客優先の考え方をしているので、お客様から支持されている場合が多いでしょう。そうした意味では、倒産する確率もかなり低いとも考えられます。