お客様と創る家 CONCEPT

いい家づくりを成功させる

家づくりを成功させるための具体的なポイントを5つに絞ってご紹介したいと思います。

1. まずは情報収集から
2. 予算を決めましょう
3. 工法の違いを知っておく
4. 地震保険について
5. 信頼できる会社の見つけ方

1. まずは情報収集から

家づくりは、一生に一度の大切な買い物です。まず知っておきたいのは、「売り手の考え方によって発信される情報が変わる」ということです。

たとえば、東日本大震災では、一部の地域が液状化現象の被害を受けました。では、この地域で家を新築したり購入する人たちに対して、そのような現象が起こる可能性があるという情報が伝えられていたでしょうか。売り手にマイナスとなる情報は、自分で探さないと得にくいのです。

望ましいのは、その分野の専門家から情報を得ることです。インターネットや書籍、建築雑誌などで探せば、知識を持った専門家の情報に接する事ができます。こうした情報を比較検討すれば、冷静な判断が出来ます。

私自身、制震材や免震装置を開発しているさまざまなメーカーの方から直接お話を聞く機会を得ました。個人の立場でも、メーカーに問い合わせて情報を収集することは可能でしょう。メーカーによっては、商品を体験できる場を設けているところもあります。実際に体験してみるのもよいでしょう。

いずれにせよ、情報が限られていると、その中から判断をしなければいけないので、判断基準が甘くなったり、間違った選択をしたりしてしまうことにもつながります。逆に、情報をたくさん仕入れたり、自分自身の目で見たり、実際に体験することで、自分自身の判断基準が生まれてきます。そういったご自身の判断基準を大切にすべきだと思います。

自分なりの判断基準ができていくにつれ、情報に対する見方も変わってきます。たとえば、それまでは業者側から「安い」「安全」などと説明されていても、「なぜ安いのか」「なぜ安心と言えるのか」を自分自身で考えるようになります。

疑問に感じたことは質問をして、詳しい説明を求めていけば、その業者のスタンスも明らかになってくるはずです。本当に安全を重視している業者なのか、商品だけをすすめている業者なのか、ある程度の見当がつくようになるでしょう。

数冊を読み比べるとよいでしょう。このとき、できるだけ現場の立場で書いた本を読むことも、併せておすすめします。もちろん、学説的な本や、評論家が書いたような本は、地震のメカニズムを知る上では参考になると思います。

しかし、家づくりについて知る上では、現場に近い立場の人が家づくりのポリシーやスタンスを明確にしている本が参考になります。こうした本は現実的な予算なども反映した適切なアドバイスなども多いものです。何事もそうですが、答えは現場にあるものだからです。

2. 予算を決めましょう

誰もが名前を聞いたことのあるような大手の住宅メーカーでは、多大な広告費をかけてテレビCMを放映したり、豪華なパンフレットを見込み客に無料で提供しています。また、各地の住宅展示場にも多額のお金がかかっています。これらのコストは、当然、施工費に反映されることになるので、原則的に住宅メーカーでの家づくりは割高になるということです。

一方で、低価格を前面に押し出して営業をしている住宅会社も存在します。建て売り住宅などは、徹底的に抑えて販売されています。こうした低価格の住宅の中には、品質が疑問視されるものもあります。コストが抑えられることと引き替えに、不良工事につながるおそれがあるからです。

コストと品質のバランスは難しい問題ではあります。ただ、地震に強く、なおかつ安くていい家を提供している会社は一定の割合で見つかるはずです。私の会社でも、低価格と安全性の両立を目指していますが、 安く建てるがために起こる職人の手抜きや品質低下は絶対あってはならないと考え、 品質を守るための仕組みや心構えを整えています。

地震対策の予算の考え方

現在、大地震に対応した材料(装置)がたくさん出回っています。安くて性能の高いものはどれなのか、判断に迷うことも多いのではないでしょうか。地震への対策は「耐震」がスタンダードとなります。「耐震」は建築基準法で定められた安全の基準であり、建築業者が法に違反しない限り、どの住宅にも適用される耐震基準ということです。それから「制震」「免震」「断震」という順に耐震レベルが上がっていきます。

予算に関しては、ハウスメーカーなどで取り扱っている制震材は、大体200万円前後が一般的な相場となっています。一方で、免震装置は付帯工事を含め500万~1000万円くらいのコストがかかることになります。(地盤のよしあしや施工方法、建物の大きさ、建築条件などによってもコストは上下します。)いずれにせよ家全体に占める予算の割合は大きなものになるので、慎重に検討する必要があります。

まずは、絶対に予算オーバーにならない計画を立てることが第一です。「どんな家がほしいか」よりも「どれだけの予算で家を建てるか」のほうが重要です。無理をしてさまざまな設備を設けた結果、家族が苦しい思いをして生活しなければならなくなったのでは、何のために家を建てたのかわからなくなってしまいます。

家づくりを考えるお客様の中には、キッチンのグレードや床暖房といった装置や、デザインなどに意識が向くあまりに、安全対策に予算をかけるという意識が乏しくなることがあります。東日本大震災からある程度の時間が経過し、安全に対する意識が薄らいでいる傾向があるかもしれません。しかし家族の安全や安心を最優先にすべきであると考えます。家族の安全や笑顔を守るために、改めてそのことを認識していただきたいと思います。

ローコストで効果大の「制震テープ」

制震材においては、一般的には200万円前後の商品が提案されるケースが多く見受けられます。戸建て住宅の制振装置にはさまざまなものがあり、カタログを見てもどれがよいのかわからないという声も耳にします。そのため、平均的な予算をもとに、業者の営業マンがすすめる商品を設置してしまうケースが多いでしょう。

しかし、これまで多くの研究者に実際に会って話す機会を得て、その中で感じたのは「複雑な仕組みの装置よりも、シンプルな仕組みの装置のほうがすぐれている」ということでした。仕組みが簡単であれば、機械自体も壊れにくく、メンテナンスのコストもかかりにくくなります。それは、木造住宅の家全体に「制震テープ」を貼りつけるというものです。

地震のエネルギーは、構造体に伝わります。この構造体と構造用合板の間に制震テープを挟み込んで、家全体を吸震器として機能させるという考え方です。この考え方は、比較的ローコストでありながら大量の制震材を活用します。

簡単な原理でありながら、防災科学技術研究所の実物大実験において、阪神・淡路の大震災を想定した1・2倍の負荷をかけてもまったく住宅の破損がないという結果が報告されています。さらに2倍の負荷にも倒壊せずに一部損傷程度と言う驚きの結果が出ているといいます。

一般的な制震住宅は、機械に想定以上の負荷がかかり損傷してしまうことがありますが、この制震の原理は、その心配もありません。そもそもが、機械でないからです。

我が社でもこの制震システムを設置し、安くて地震に対しても安心基準の高い家を提供しています。予算の都合で十分な制震装備をつけられないという話を耳にしますが、低コストと品質を両立させる商品が存在します。これからの家づくりを考えるときには、コストを抑えながらでも、安全対策にも意識を向けていただきたいと思います。

3. 工法の違いを知っておく