私は以前から環境対策のセミナーなどを開催して、お客様に対する認知活動を行ったり、環境負荷を軽減する商品の提案に努めてきました。 また、国土交通省の事務機関である住宅リフォーム推進協議会の中にある産業廃棄物対策委員会において主査を務めるなどの取り組みを行っています。 産業廃棄物対策という側面から考えても、環境負荷を軽減する家づくりがいかに重要であるかがわかります。 皆さんは、家を建て替えるときに出る廃材はどのように処理されるかご存じでしょうか。 建築廃材は、中間処理施設というところに搬送され、ここでリサイクルできるものとできないものに選別されます。ちなみに、この段階での細かな選別はすべて手作業で行われていることも、一般的には知られていない事実です。 ここでリサイクルされない廃材は、基本的に混合廃棄物と高塩化物、そしてアスベストなどと呼ばれるものです。混合廃棄物とは、簡単に言うと、2つの物が組み合わさるとリサイクルが不可能になるということです。たとえば、ダンボールにコンクリートの固まりが付着していると、そのまま廃棄するしかないのです。また、高塩化物とは、濃度の高い廃プラスティック類を指します。 この住宅リサイクルの考え方は、住宅業界に関わっている人の中でも深く理解している大は少ない状況があります。 たとえば、ビニルクロス(ポリ塩化ビニルを主原料とする壁紙)の悪玉説です。 この素材を使うのは地球環境にとってよくないことであり、「珪藻土」などの自然素材を使うのが好ましいなどと専門家が解説していることがあります。たしかに健康面では理想的な素材ですが、廃棄面から見ると、実際には石膏ボードの下地に珪藻土を塗るケースが大半です。つまりリサイクルできない混合廃棄物になってしまうのです。 一方で、ビニルクロスは石膏ボードから剥がすことができるものであれば、分別して、先端の廃棄物処理施設の場合、高性能の焼却炉で焼却することができ、その火力子エネルギーによって近隣世帯に電力を供給しています。また、石膏ボードに関しては再生されます。 つまり、廃棄の面から見た場合には、ビニルクロスのほうが環境には優しいと言えるのです。これは業界内でも、ほとんどの人が知らない事実です。それ以外にも、現場で発生する段ボールなども濡らしてしまうだけでリサイクル不能になってしまいます。こうした知識を持ちながら、一般の建築現場が管理されるようになるために、廃棄面という角度からの認知活動を行っているのです。
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