次に揺れに弱い建物の特徴として考えられるのが「古い建物」であるということです。 阪神・淡路大震災の資料を見ると、木造、鉄筋、鉄骨といった工法を問わず、古い建物の倒壊する割合が高いことがわかっています。 特に昭和56年(1982年)以前に建てられた建物の倒壊比率は高いことが指摘されています。中でも、戦後の高度経済成長期に建てられた古い木造住宅の倒壊が目立ちました。 倒壊した建物を調査した結果、鉄筋コンクリート造の建物などは、鉄筋の配筋量が極端に少なかったり、鉄筋が錆びていたり、鉄筋のピッチ(間隔)が広すぎるものが見られました。 木造住宅も、建物を支える壁量が少なく、耐震性が低い住宅が多かったことがわかっています。古い木造住宅では、バランスの悪い建物、構造金物が満たない建物が倒壊しました。 かつての東京の場合、東京オリンピック(昭和39年)を前に首都高速道路が整備され、ホテルや競技場、マンションの建築ラッシュが起きました。このとき使われたコンクリートには、普通は使われない海砂を使ったものもあったと聞いています。建築ラッシュという時代背景に左右されていたのです。 これは、オリンピック景気だけによるものだけではありません。近年のマンションの建築ラッシュの際にも、耐震偽装問題が発覚されたことも記憶に残るところです。そうした供給が多く重なる時期に建築された建物には、何かしらのしわ寄せが起きがちなのです。 当時は、あとのことを考えるよりも、とにかく建設することが第一だったのでしょう。こうしたコンクリートが不足するような時期に建てられた建物や、まだまだ初期の鉄筋コンクリートの建物・木造住宅のコンクリート基礎などは、施工方法も確立しておらず、安全性が高いとは、言い難いのです。
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