「家は資産」というと大げさに感じる方もいるかもしれませんが、これからの住宅は100年もつのが当たり前。その資産が子や孫に受けつがれるよう手をつくすことも、家づくりの大切な要素です。 私の会社はこれからの住宅の新しい地震対策の試みとして、「エアー断震」という新しいシステムを導入しました。これは、簡単に言えば、空気の力で家を浮上させることで、地震の揺れを受けないようにするという画期的なシステムです(詳細は62ページ)。 現在の木造住宅は、以前と比べると非常に耐久性の高いものとなっています。ただし、日常的な揺れや何度も大きな地震を経験すると、耐震住宅でも釘などの金物が緩んでしまうという特性があります。そのまま放置すると、倒壊の危険性も高まるということです。 「エアー断震」などで地震の衝撃を受けない家を作ったり、釘などが緩んでも大丈夫な作りにしておくことで、2世代以上にわたって安心して暮らすことができるわけです(その方法は第2章や第3章で詳しく説明していきます)。 こうした安全性を確保することは、資産価値を守ることでもあり、家という一生に一度の買い物の投資対効果を高めることにもつながります。 せっかく家を建てても大地震で倒れてしまっては、貴重な資産を失うだけでなく、ローンの支払いに苦しむことになるなど、大きな問題を抱えることになりかねません。もしも運よく倒れずにすんでも、「居住不適格」の赤紙を貼られてはおしまいです。 家づくりに当たっては、単純な見た目にとどまらず、「資産としての家をどう守っていくか」という面に、もっと注目する必要があるのではないでしょうか。 建物の頑丈さだけが資産価値とはいえません。壁の中などの結露は、金物の錆の原因となるだけでなく、カビの原因ともなり、建物の耐久性を損なわせたりします。そういったことを考えると、建物が長持ちするような工法を選択したり、丁寧な施工を心がけることも、資産価値を守ることにつながるのがわかるでしょう。 これまでの時代は、設備機器のグレードを上げたり、デザイン性などが重視されがちでしたが、震災後の日本では、こうしたさまざまな観点から「資産を守る」ための家づくりがますます求められていくはずです。
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