二世帯住宅を建てたい!
【9】二世帯住宅の失敗集
二世帯住宅を建てたい!
二世帯を建てようと思ったら、いろいろと情報収集をするかと思います。そのときに、ネット検索をすると出てくる二世帯住宅での失敗集......。
「実際に住み始めてから、ここをこうすれば...」
「こうした方がよかったかも...」
「ここを我慢したから失敗した...」
多く出てくる失敗談に心配になったり、不安になったりするかもしれません。しかし、これを反面教師にして、よりよい二世帯を建てませんか?
目次
間取り、設計での失敗事例
まずは、間取りや設計での失敗事例です。
●お風呂が共有で親世帯のリビングを必ず通らないと行けなくなり、気軽に夜中や早朝とか入りたいタイミングでいけない。
●それぞれの世帯の間取りで、広さや動線を優先してしまい、いざ住んでみると収納スペースが足りず、ものがあふれてしまった。
●洗濯機や洗濯スペースが親世帯の寝室の近くにあり、深夜や早朝に洗濯ができない。
●1階を親世帯、2階を子世帯にしたものの、子供がまだ小さくて、落ちそうで階段が危ない。子供がもう少し大きくなってから居住スペースを交代する形にすればよかった。
●上下階の部屋割りがまったく同じにしたので物音が気になる。
●扉一枚でつながる設計にしたもののカギをつければよかった。こちらの都合を気にせず、気軽に入ってくる。
●1階は寒すぎる、2階は暑すぎる...上下で分けるのではなく、縦割りにすればよかった。
●一人になれるスペースがない。どこにいても誰かがいる。たまには一人で過ごしたい。
共有スペースでの失敗事例
次に、共有スペースでの失敗事例です。
●共有の玄関にしたら、両家の靴や物であふれかえってしまった。玄関横に収納スペースを作ればよかった。
●仕事で帰宅時間が深夜になり物音を気にしてこそこそとしてしまう。玄関は別々にすればよかった。外階段にすればよかったと思った。
●共有のお風呂なので時間帯によっては、みんなが集中して入るので混雑してしまう。別に簡単なシャワールームを付ければよかった。
●共有のトイレにしたので、朝が渋滞。トイレは各世帯に作ればよかった。
●脱衣所に洗面所があるので、相手世帯が入浴中だと洗面所を使いにくい。
●朝の洗面所が、思っていたよりも渋滞してしまう。
●共有リビングなので、インテリアの趣味が違うためまとまりがない空間になってしまった。せめて趣味が合えばよかった。
●共有リビングなので、気を使うため友達や実親を呼びづらい。
●共有スペースの掃除の仕方で、相手世帯ともめてしまった。どうやるかどちらがやるかなど事前に決めておけばよかった。
生活時間帯のズレの失敗事例
生活時間のズレが引き起こした失敗事例です。
●子世帯の帰宅が毎晩遅かったり、夜中に洗濯機をまわしたりするので物音が気になり寝ていたのに目覚めてしまう。
●週末の朝にゆっくりできない。相手世帯が起きていると起きなくてはならない。
●お風呂の時間がみんな違うのでその都度、追い炊きをして不経済に感じる。
●相手世帯の来客が頻繁に来るので、話し声などがうるさい。
●起床時間、就寝時間が相手世帯と違うので物音に気を使っている。
●耳が遠くなってきた親世帯のテレビの音が大きすぎて、寝ている子供が起きないか気になる。注意もしにくい。
●連絡なしに突然に来るので困る。二世帯だけど、そこは気を使ってほしいところだった。完全分離タイプにするか、内側でつながっている扉にカギをつけるかしたらよかった。
●自分が留守の間に勝手に入られていた。
共有した設備についての失敗事例
共有設備についてこうすればよかったという失敗事例です。
●水回り、とくにキッチンは別にすべきだった。
→毎日使うところだし、使い勝手がメインに使う人によって違う。掃除してもすぐに汚されたりして、ストレスになっている。
●共有スペースの光熱費の支払い割合をちゃんと決めておけばよかった。
→あいまいにしていたので、毎月どちらが負担するか、どのくらいに分担するかなどで軽くもめている。
●自分のペースで生活できない。
→共有のお風呂なので入りたいときに入れない、共有キッチンなので食べたいときに食事がしにくい。
失敗事例を反面教師に
失敗事例を見ると、下記の点は気にしておきたいところです。
水回り(キッチン、お風呂、トイレなど)はなるべくわけておくこと
→とくにキッチンはわける、もしくはメインキッチンのほかにミニキッチンなどを設けるなどしてみましょう。お風呂やトイレ、洗面所は時間帯で渋滞してしまうのでわけた方がストレスがなくなります。
生活時間は前もって細かく確認しておくこと
→世帯によって、生活時間は異なるものとして考え、話し合うといいでしょう。それに合わせて共有設備や間取りを考えたりしましょう。
収納スペースは作ること
→部屋の広さや過ごしやすさを先に考えてしまい、収納スペースを忘れてしまいがちです。共有設備が増えるとそこに両世帯のものがあふれてしまうことも。
一人になれる空間を作ること
→二世帯で住むと、ひとりっきりになれる空間がなかったりします。家なのにくつろげない。気軽に自分の友達を呼んですごせる空間がほしいということも。誰もが使えるフリースペースを用意しておくといいでしょう。
実際に365日いっしょに住んでみると、相手世帯の見えなかった様子、考え方などがわかると思います。そのことでもめてしまったり、せっかく建てた二世帯から引っ越しすることになったりなどもあるとのこと。
しかしそのことを事前に気が付き、前もって親世帯子世帯でちゃんと話し合うことが大切です。話し合うことができる間柄ならば、今後も円満に過ごすことができるはずです。
自分たちだけで話し合いにくいなら、間に建築業者などを入れてしっかりと話し合うべきでしょう。失敗したから、じゃあやり直そうとはなかなかできない高額な買い物です。失敗事例をもとにして、よりよい二世帯を考えましょう。

【8】二世帯住宅にするメリットとは?
二世帯住宅を建てたい!
二世帯住宅は、なんだか気乗りしないという人が多いでしょうか。
「お姑さん(お嫁さん)やお舅さん(お婿さん)と対立したらどうしよう」
「毎日、顔を合わせて、ごはんも一緒でとか気づまりしそう」
「生活を監視されそう...。生活に口出しされそう...」
「孫はかわいいけれど、お嫁さんと仲良くできるかしら?」
このような印象がいまだに根深い二世帯住宅。
たしかにこのような目にあい、同居をやめることになったりもあることでしょう。でもメリットもたくさんあるのです。
●家事を頼むことができる
●留守のときの対応(洗濯物を取り込んでもらう、宅急便を受け取ってもらう、旅行で留守にしていても家に誰かがいるなど)
●何か困ったときにお願いできる
●子供や孫など話し相手がいる
●育児の手助けを頼める
●介護が必要になったときに助けられる
●相続時の税金を抑えられる
●光熱費の折半やまとめて安くできる
事前に気を付けておくべきポイントを踏まえつつ、「二世帯にして、よかった」と思える家作りになればと思います。
目次
助け合える距離
"お鍋が冷めない距離"という言葉があります。
二世帯は、まさにその言葉通り。同じ町内などの近くに住むとは違い、同じ建物内、もしくは同じ敷地内に同居をするので、まさにお鍋は冷めません。むしろ一緒に食卓を囲むということも。完全同居、一部同居、完全分離。どのタイプの二世帯でもお互いに助け合うことができます。
完全同居:同じ建物内に同居するので、お互いの生活がよくわかるし、助け合いやすいでしょう。その代わり、干渉しすぎるという可能性もあります。
一部同居:玄関やリビング、お風呂が共有でもプライベートな空間などは別々です。リビングが共有スペースだと、相談がしやすかったりも。
完全分離:玄関から別々なので、プライベートが保たれます。そのため、二世帯なのにまったく会わないということも......。相手世帯のことを気にかけることを心がけるといいでしょう。
親世代の悩みとしては、老後でしょうか。健康なときはいいのですが、病気をしたり、介護が必要になったり、配偶者と死別したりとしたときに、頼りにしたいのが子世代です。話し相手として、病気のときや介護を頼んだりしたいものです。
そして、老後のことを考えた間取りにすることをおすすめします。共有スペースであるリビングやお風呂などが上階にあると、足腰が弱ったときに階段を昇るのが大変になります。共有スペースは、親世代の階に作ったり、別々にしたりなどが必要です。また、いざ介護が必要になったときに、車いすでは通れない、段差が多いとなると困ります。さらに普通のベッドより大きいリクライニングベッドなどが入らない、スペースがないということも。間取りを考えるときには、将来のことを見据えることが必要です。
子世代の悩みは、子育て。夫婦で共働きをしているときなど、親に子供を見てもらったり、食事をお願いできたり、幼稚園や保育園の送り迎えを頼めたり...ということが可能になります。メリットがたくさんですが、注意したいのは慣れ合いになってしまうということ。いろいろやってもらうことを当たり前と思わずに、感謝する言葉を伝えたりしましょう。親としても、孫のお世話は親世代にとっても体力を使うものです。孫はかわいいけれど、しんどいと思うこともあることでしょう。感謝されたいから孫育てをしているわけではないものの、やはりひと言あってもいいのではと思うところは、あると思います。
同居をしていて、実際に助かったということは、急な雨などのときに洗濯物を取り込んでくれた、雨戸を閉めてくれた、宅急便を受け取ってくれた、家事をしておいてくれたなど。このようなことは、ささやかなことですが、毎日の生活でとても助かる点です。
助かる金銭面
次は、金銭面。
二世帯を建てるときは、通常の一軒家を建てるよりはやはり割高になります。
具体的に考えてみます。通常の一軒家で、2階建て3階建てともに30坪程度の延床面積の場合、二世帯となると、2階建て3階建てともに40坪程度の延床面積になります。
・床面積10坪の増坪
・玄関ドア1本追加
・設備機器一世帯分追加
・給排水、ガス、電気系統をそれぞれ1系統追加
例えば通常の一軒家を2100万円とした場合、それに相応する二世帯は、2850万〜3200万円くらいが目安です。
どこまで共有設備にするかにもよりますが、玄関、お風呂、リビングなどを世帯で別々にするとなると、それぞれかかります。しかし、親と子とでそれぞれに家賃を払って別々のところに住むよりは、トータルで考えると安くはすみます。さらに、ご予算に合わせた二世帯を叶えるために、共有部分を増やしたり、面積を抑えたりといったことも可能です。
また電気、水道、ガスなどの光熱費をどちらかがまとめて払うと安くなります。しかし、ここはもめるポイントにもなるので注意が必要。どちらかがまとめて支払っていると、支払っていない方の使い方が気になったり、気を使ったりしてしまいます。光熱費の支払いについては事前に話し合いましょう。ひとまとめにするか、別々にするかで配線や水道の配置にもかかわるので早めに決めておきたいところです。
住宅を新築するときには、不動産取得税、固定資産税などが要件にもよりますが、軽減措置を受けることができます。
「構造上に独立していること」
「利用上に独立していること」
を満たしていることが条件になります。
※地方自治体によって、この要件は変わることがあるので、お住まいの自治体にご確認ください。
また相続税も、同居家族には減税の特例があります。「小規模宅地等の特例」というもので、適用条件によりますが、減額が可能です。二世帯として住んでいるもののそれぞれが別世帯として登記していると、この特例が適用されません。
税金の優遇措置などは、個人で判断せずにハウスメーカーや地方自治体、税の専門家などに相談をしましょう。住宅ローンなどの話も事前に説明を受けたうえで検討するといいでしょう。その際には、今後の大きなお金のことなので、親世代・子世代で一緒に聞きに行くことをおすすめします。ちゃんと今後のお金についてお互いに話し合える間柄であれば、二世帯で住んでいくことも問題ないといえるでしょう。
金銭面は、何かともめやすい問題です。無駄なトラブルを起こさないためにも二世帯を考えたときに相談しておくことが大切です。

心をささえる距離
最後にメンタル面でのささえです。
何かと物騒な世の中であったり、異常気象による災害なども起こりやすい...不安になったときに、親世帯や子世帯が近くにいるというだけで心強いものです。建物は別棟だとしてもそばにいるという安心感があります。
また、親世代は高齢になるにつれて、思うように体が動かなくなったり、気持ちが落ち込んでしまうこともあるかもしれません。そんなときに孫の成長に携わることができると、気持ちにハリがでてきます。また孫としても、核家族の多いなか、大家族と暮らすことを体験することができ、祖父母に対する尊敬の念や、教わることも多いことでしょう。
そして親世代では、配偶者が先に亡くなったり、施設へと入所することになったりするかもしれません。残された方を子世代が間近で気にかけることができます。亡くなった悲しみも子世代と暮らすことで紛らわすことも。
今どきの親世代は、独立志向が高めといわれています。団塊世代あたりは、子世代の独立やプライバシーを尊重する傾向にあるようです。そのため過干渉を避けたいという思いもあるため、気苦労をしないですむかもしれません。
しかしプライバシーを尊重する場は、間取りを考える時点で意識して設けるようにしましょう。同居の相手世代を気にせずにお客さんを呼びたい、趣味を楽しむ部屋がほしい、一人になれる場所がほしいなど、それぞれ自由に使える空間(部屋)は必要です。"誰でも使える部屋"というのを作っておくといいかもしれません。
メリットの多い二世帯にするためには、事前の話し合いや間取り決めが重要です。今や少し先のことだけではなく、親の老後、親が亡くなったあと、子供が成長して自立したあとなど、もっと先を見据えてみましょう。
【7】親世代、子世代と同居するということ
二世帯住宅を建てたい!
かつては結婚したら相手の親と同居するということが当たり前でした。しかし嫁姑問題が起こったり、過干渉により仲たがいをしたりというマイナスイメージもついている同居。
しかし、今ではお互いのメリットを求めて、あえて同居をする家庭が増えているとのこと。共働きをしている世帯が増えているので、日常の家事の協力、孫育児のサポートはとても助かります。また、いざ介護となったときは近くに家族がいることは、心の支えとなりサポートも受けやすくなります。そして土地・資金の助け、生活費の削減、税金の優遇措置など経済面でもメリットがあります。
目次
将来のことを考えた間取りにしていますか?
間取りを決めるときには、みんなの希望や理想が詰まったものにしたいものです。しかし、建てたら長く住むのが家です。将来的なことを考えた間取りにしているでしょうか。
親世代に考えてもらいたいのが、将来、介護されるときのことです。今は元気で、足腰も問題なく日常生活を過ごせているかもしれません。しかし、いつかは介護されるという可能性もあることを考えましょう。施設に入所する場合は別ですが、訪問介護の場合は、家で過ごします。
バリアフリーを心がけたものの、車いす生活になったのに車いすが入らない、車いすだと動きにくい間取りになっているということも。また、リクライニングベッドを使うことになったとき、自分の部屋に入れることができないということがあるそうです。
そしてお風呂場、トイレ、廊下、玄関の段差のところなどに手すりがあると便利です。こちらはあとから付けることも可能です。
家のなかの段差を極力減らすバリアフリーは、最初からしておくといいでしょう。高齢になると、足腰が思いのほか弱り、ちょっとした段差で躓いてしまうことがあります。
二世帯を建てるとき、親世代を1階にし、子世代が2階に住むということがみなさん多いです。みんなで集まるリビングもできれば親世代のところに作るといいでしょう。先ほどのように足腰が弱り、階段を上り下りすることがつらくなり、動くことが億劫になってしまうこともあります。
また、共同のトイレ、お風呂、洗面所などを上階に作ると、これも親世代が使うには難しくなってきます。親世代のスペースにそれらを配置するか、世代ごとに別々に配置するようにしましょう。
そして、資金面や広さで可能であれば、エレベーターがおすすめ。狭い土地でも3階建てにして、エレベーターを設置すれば階段も億劫になりません。
空き部屋が出るということも考える
部屋が空くという可能性も考えているでしょうか。
親世代は、もし亡くなったら、施設に入所することになったら空きます。また残された1人で住むという可能性もあります。
子世代は、子どもの成長により独立して家を出たり、仕事の都合で転勤や引っ越しなど生活に変化が起こりやすいことも。突然に子世代が一家で出ていくという可能性もあります。
部屋が空いてしまった場合、その後どのようにするとよいでしょうか。
完全分離タイプ(玄関も設備もすべて別々な場合)であれば、賃貸として貸し出すことも可能です。ただ、アパートやマンションに比べてとても近い距離間となるので、貸す相手に限りがあるかもしれません。
現実的なこととしては、残された世代が使う、またはリフォームして二世帯から通常の一軒家としてしまう方法もあります。
間取りを決める段階で、このことを建築のプロに相談してみるのもいいでしょう。部屋の作りをシンプルにし、どの世代でも使えるようにしたり、間取りをリフォームしやすい構造で建てておくこともいいでしょう。もしリフォームにする場合は、1階をリフォーム中のときは、2階で過ごせるので仮住まいする必要はありません。
二世帯は、中古で売りにくいとされています。世帯に合わせた作りになっているからです。せっかく建てた我が家ですし、手放すのではなくリフォームや建て直しなどをして長く住んでいきたいものです。
ストレスフリーの家にする
同居をするというと、些細なことでもめてしまうことがあります。人間関係があるので、それは仕方のないこと。では、お互いがストレスを感じないためには、どうするといいのでしょうか。
次のことを意識してみましょう。
● 両家それぞれの文化がある
それぞれ育った環境や生活によって、考え方や価値観が違うもの。相手の文化を尊重しましょう。
● 生活リズムを理解する
子世代と親世代では、生活リズムが違います。相手の生活リズムを理解し、ストレスにならない間取り作りをしましょう。
● 親子間での甘えやわがままに注意する
親子間には、遠慮がないのでつい甘えがち。依存しすぎてしまい、配慮が欠けてしまうことも。相手が不満を感じているかもしれません。
● 精神面のプライバシーを守る
外出時に行先を聞いたり、相手の専用スペースに無断で入ったりということがストレスになることも。適度な距離感をおいておきましょう。物理的にプライバシーを守るために、両世帯を行き来できる扉にカギをつけるということもいいでしょう。
いろいろと事前に考えておかないといけないことが多いと感じるかもしれません。しかし、これらを最初から考えておくかどうかで心のもちようが変わってきます。
◎「いってらっしゃい」「おかえり」のあいさつはするものの、そのあと詳しくは聞かない。
◎親しいお隣さんという感覚。
◎干渉しないけれど、困ったときには助け合う。
このような考え方で同居生活を過ごしてみると、ストレスフリーな生活になるかもしれません。

いろいろ面倒と感じるかもしれませんが、二世帯で同居することのメリットはまだまだあります。
● そばにいるという安心感
元気な様子を近くで見ることができ、気配を感じることは安心します。逆にちょっとした変化も見過ごすことなく気が付くこともできます。
● 子どもの成長にプラス
祖父母と過ごすことで食育や伝統しきたりなどを知ったり、礼儀などが身につくという成長にプラスなことも。年配者を大事にする子どもに育ちます。
● 親世代の生活にハリがでる
子世代の日常生活の手伝い、孫育児のサポートなどをすることで生活にハリが出て、気持ちも若々しくいることができます。夫や妻に先立たれたときなども、子世代と同居していると話し相手がいるし、さみしい思いをせずに過ごせます。
● 留守やペットの世話を頼める
旅行に行くときに、ペットの世話を頼めたり、留守の間、雨戸の開け閉めをしてもらったりしやすいです。また留守をしているけれど、子世代または親世代が家にいるということが気分的に安心感をもたらします。
● 経済面で助け合える
子世代だけでは建てられなかった家を親世代がカバーしたり、親世代では組めないローンを子世代が組む代わり生活費を払うなど、経済面で助け合うことができます。
問題点などは、間取りで解決することも多いので、建築のプロに相談が一番です。「こんな細かいこと聞いてもいいのかな」と思わずに、なんでも聞いて相談してください。建ててから後悔するより、事前にいろいろと相談し、解決してから建てれば、長く住んでもストレスフリーな家になります。二世帯同居にはメリットがたくさんあります。理想の二世帯を建ててみましょう。
【6】玄関が別々の二世帯にする
二世帯住宅を建てたい!
目次
玄関が別か一緒かでタイプが変わる
二世帯を考えるときに、玄関ってどう考えていますか?
「同居なら、玄関は同じでいいんじゃないかな」
「別に玄関は、同じでもなんの問題もない」
そのように考えるでしょうか。
二世帯には、3タイプありますが、「玄関が一緒」なのは一部同居タイプや完全同居タイプに当てはまります。
「玄関が別々」となると、これは完全分離タイプとなります。玄関が別々でも、なかで行き来できるドアを作る場合もあります。
子世代と親世代の生活リズムや建てる間取りにもよりますが、おすすめは、「玄関が別々」です。
玄関を別々にするワケ
最初は、玄関は同じでもと思うかもしれませんが、いざ暮らしはじめると意外と気になることがあります。
それは、ドアの開け閉めの音。
住んでいるみんなが同じ生活リズムであれば、出入りの時間帯もだいたい同じになることでしょう。それであれば、気にならないかもしれません。
しかし、よくあるのが子世代の働いている夫婦の帰宅が夜遅くなったり、子ども(孫)が遅く帰宅したりすることで、その物音で寝ている親世代が起きてしまうということ。
2階建ての二世帯の場合、だいたい1階が親世代のスペースになります。玄関から寝室までが遠ければいいのですが、なんだかんだ玄関の物音や上の階へと昇る階段の音などは響くものです。子世代も、そーっと閉めたり、そーっと開けたりと気をつかうならば、いっそ玄関は別々の方が気兼ねしなくていいものです。
玄関別々にすると玄関スペースが狭くなる?
では、玄関を別々にしようと思ったら、どこに作るといいのでしょうか。
1階、2階とで玄関を別々にする方法があります。親世代、子世代で居住階をわけるならば、そこに合わせて玄関がある方が便利です。外に階段を設ければ、階段の物音もなかにまでは、響きません。
1階にそれぞれの玄関を作るのはどうでしょうか。
玄関を2つ作ると、どうしても狭くなるなど制限がでてしまうことが多いです。比較的大きめな間取りであっても、子世代で子どもが2人もいると、靴を家族分しまうことができないということも。
そこで玄関とは別に、シューズクロークを設けてみてはいかがでしょうか。小さな子どもの場合、バギーや外での遊び道具、子ども用の自転車なども家のなかに置きたいものです。しかも出かけるときに使うので、家の奥にしまい込むと取り出すのが、面倒になってしまいます。これらも玄関のところにシューズクロークがあれば、そこに靴とともに収納することができます。子世代の方にだけ、シューズクロークを設けてもいいでしょう。玄関がすっきりとします。
なかでつながる扉をつくる
玄関を別々にしたら、隣り合って住んでいるのにむしろ会わなくなってしまったという話もあります。近くにいるから、いつでも会えるからと思うからでしょう。
しかし、せっかく近くに住んでいるならば、気配を感じる、行き来できる扉をなかにつくるパターンもあります。別々の玄関を隣り合わせにし、その壁につながる扉をつくるのがおすすめ。違うところに、つながる扉をつくるには、お互いの間取りを合わせて調整しなければなりません。


また、なかでつながる扉をつくるとこんなメリットもあります。
① 相続税が安くなる可能性がある
親世代から相続する際に、小規模宅地等の特例で、8割減が受けられる可能性があります。
②共同住宅の規制を受けない
1つの建物に二世帯の住人が住む場合、完全独立だと共同住宅の規制を受けることになります。なかでつながる扉があることで、共同住宅の規制を受けずにすみます。扉は、鍵付きでもかまいません。
③気兼ねなく行き来ができる
いちいち、外に出て尋ねなくていいので、気兼ねなく行き来ができます。
つながる扉をつくるだけで、税金の面でメリットがあります。
なかでつながる扉にカギをつけるかどうか?
玄関を別々にし、なかでつながる扉を設置しました。
では、その扉にカギはつけますか? つけませんか?
実の親子の同居の場合は、カギはいらない、家族なんだから水臭いといいがちだそうです。しかし、義理の親子の場合はどうでしょうか。急に入ってきたり、休みの日でも朝早くてもかまわず出入りされたり、プライベートがなくなることを考えて、実はカギをつけたいと思っているものの、表立っていえないということが多いそうです。表立って伝えたことで、信用していないということかなどと離婚騒ぎになったり、親世帯との仲に溝ができたりということもあるようです。
カギをつける費用や取り付け工事もたいしたことはありません。直接、親世帯や子世帯とで話し合うとこじれる恐れがあるなら、間に建設会社、事務所などを挟んで相談してみましょう。家とは、安心してくつろげるところでありたいもの。みんながストレスなく過ごせるように、カギひとつで解決するならば、つけた方が安心です。