あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第四章 ~顧客満足ストーリー①~ もう一度、自分たちの家を持ちたい 老夫婦が実現した理想の住まい


 ここで私自身の経験から、実際に起こった家づくりに関わる物語を紹介したいと思います。いずれのケースも、第3章で述べた20のポイントを守り、お客様の予算やライフプランを考え、不安のないように取り組んだ事例です。私かお伝えしたかったサービス精神とはどのようなものか、幸せな家づくりとはどのようなものか、その一端を感じていただければと思います。

 これは老夫婦がこだわりの家を建てた物語であると同時に、家づくりに必要な人間関係の重要性を再認識した事例です。
 天気の良いある日、一人のご老人の男性が会社を訪ねてこられました。相談したいことがあるということで、女性コーディネーターが話をうかがうことになりました。聞くところによると、今のお住まいが仮住まいで、2年が経過するとのことでした。
 どうして仮住まいなのかというと、2年前に隣家の出火が原因で、自宅が全焼してしまったと言うのです。しかも、その家は浴室をリフォームしてすぐだったそうです。そして、すべてを失ってしまった状況だったそうです。奥様は疲れ果て、現在はあまり動くことができないため、その男性が代わりに家事を行っている、とのお話でした。
 その男性の相談というのは「今は賃貸の仮住まいだけれども、どうしても、もう一度、自分たちの家を持ちたい」というものでした。次に建てる家は、4回目の建て替えになると言います。長い人生の中で、それだけ住まいを変えなければならない状況があったとお話しになっていました。
 その老夫婦は、職人の腕に非常にこだわりをお持ちでした。過去3度の住まいづくりの経験から、いい家は、いい腕の職人、大工さんがつくるものと理解していたのです。
 奥様は、知り合いの紹介などを通して、今まで数社の工務店を訪問されたそうです。しかし、それらの工務店は、仕事の依頼を求める内容の話をいろいろと話すばかりで、奥様は、どうしても決断ができずに悩み、疲れてしまったそうです。

話を聞きながら信頼関係を構築

 ご主人様が帰られてから、数日後に奥様が訪ねてこられました。話をおうかがいすると、ほかの工務店で踏み切れないのは、奥様の要望をしつかりと理解することなく商談が進んでいることが原因であるとわかりました。奥様の基本的なご要望が満たされない図面を提案されるなど、お客様の意見を最大限くみ取るという姿勢が見られなかったようです。
 そこで、女性コーディネーターが老夫婦の立場をしっかりと理解して、基本的な問題点を深く聞き取る、という作業を行いました。予算の問題、大工さんの質の問題など、不安となる要素をすべて聞き入れ、問題解決を図るようにしました。
 その結果、今まで何の縁があったわけでもない私共に深い胸の内を話していただき、共に信頼関係を構築していきました。今まで話をしてきた工務店は、その仕事を受注したいがためにヘリくだった態度は取っていたそうですが、本来求められる悩みの解決となる提案はしていませんでした。また、老夫婦であれば、より親身に対応すべきところを、売る側の都合の話をたくさんしていたそうです。
 平屋の計画でしたので、プランを変更するといっでも、それほど大きく変わるわけではありません。しかし、お客様にとっては小さな窓を1つ選ぶに当たっでも本当に想い入れがあるのが家づくりなのです。悩みをしっかりと受け止め、お客様の予算の範囲でしっかりと施工しました。特に大工さんには強いこだわりがあったことから、元、宮大工さんを採用して家を建てました。
 お客様は、ご高齢であるにもかかわらず、毎日毎日現場を訪れてきました。耳が遠いこともあり、ご自宅にファックスをプレゼントして、日々の業務はファックスを読めばわかるようにして送信しました。

あきらめかけた家が完成した

 そして、ついに何度もあきらめようかと思った念願の家が完成しました。決して大きな家ではありません。しかし、お客様の想いのこもっだ家です。当然、私たちにとっても想いのこもった家です。家の完成時には、お客様は涙を流して喜ばれました。私たちも、この仕事をさせていただいて、本当に嬉しく思いました。
 その後、定期点検でおうかがいするほか、毎月DMを送っておりますが、「とても楽しみにしている」とおっしゃっていただきました。お客様感謝祭などにも元気なお顔でご来場されています。そして、少しでも困ったことがあると、家の問題に限らず、すぐに悩みを聞き、問題を共に解決するようにしています。それは、単なる仕事を超えた人間的なお付き合いです。家づくりに必要なのは、このような人間関係ではないでしょうか。
 お客様の問題の本質をしっかりと理解して、さまざまな配慮を徹底する。丁寧なヒアリングによるプラン作成、そして意志ある職人との連携でお客様の大切な家を建てさせていただく。さらに、心のこもっだお付き合いを未来永劫させていただく......。
 私たちは、いつもその老夫婦のお客様とのご恩に感謝しています。
 感動して涙された日が、つい昨日のように思い出されます。