あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第四章 「顧客満足」はかけ算


 家づくりはたくさんの人が関わる大事業です。そこでの顧客満足は「かけ算」で決まります。つまり、1つのゼロがあれば、すべてがゼロになりかねないということです。
 例えば海外旅行中に、あるレストランで食事をしたとしましょう。そのレストランでひどい接客を受けたら、その国全体の印象が悪くなってしまうものです。
 これは家づくりも同じです。
 現状では、どれだけの住宅会社がこのことに気づいて行動しているのでしょうか。
 私は業者向けの講演をする際に、最後に「お客様はいつ満足を感じると思いますか?」という質問を投げかけてきました。すると「引き渡し時です」「契約時です」といった答えが返ってきます。
 しかし、それは意識としては不十分です。家づくりは満点を目指す必要があります。すべての段階で、お客様の要望を満たさないといけないのです。
 住宅会社を判断するに当たっては、すべての過程にサービス精神が見られるかどうかをチェックしてください。家づくりに関わるすべての人が、チームワークを持って大事業に向かっている姿勢が見えてくれば、信頼できると判断してよいでしょう。
 チームワークの欠如は、トラブルの原因となります。例えば、契約がすんだら顔を見せなくなる営業マンがいます。
 信頼して営業マン、設計士に伝えたつもりの要望が、現場に反映されている様子が見られない。これでは、満足度がゼロになるのも当然です。
 もちろん営業マンがすべての工程を管理することは難しいかもしれません。会社の仕組みで営業と現場が完全に分離される場合、「ここまでは営業が担当しますが、ここからはさまざまな書類に基づいて、現場管理の人間がしっかりと引き継いでいきます」と、心配がないように誘導してくれるのが理想でしょう。