あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第三章 業者選びのポイント12 現場周辺への配慮


配慮のある・なしに会社のレベルが表れる

 「現場の周辺、近隣への配慮」は、とくに確認しておきたい重要ポイントです。
 建築している現場を綺麗にするのは当然として、その周囲にまで配慮ができるかどうか。ここに業者のレベルが明確に表れます。
 その会社の現場を見学する際などに、例えば、次のような質問をしてみましょう。

「工事車両はたくさん来ると思うのですが、どのように配慮されていますか?」
「いつも近隣の方への対応は、どうされていますか?」


 唐突にこう聞かれると、担当者は普段やっていることしか伝えられないはずです。現場に顔を出していない担当者だったら、回答できないこともあるかもしれません。
 「工事中はやむを得ないので、家の前に車を並べて駐めています」
 という回答が返ってきたら、近隣の方に迷惑がかかっていそうにないか、現場を見てみましょう。または、
 「コインパーキングに車を駐めています」
 という回答があったときには、路上駐車はされていないでしょう。そうすることで、どの程度、配慮のある会社かという判断ができます(私の会社の場合を申し上げると、近隣の駐車場の空き状況にもよりますが、I~2台分の駐車場を借りるようにしています)。
 工事が進むとたくさんの工事車両が現場に来ます。すべてが駐車場に駐められればよいでしょうが、近くに駐車場がない場合もあるでしょう。そうした場合、しっかりと配慮して駐めてあるか? 非常識に乱雑でないか? などを確認してみてください。

周辺への配慮が近所づきあいを左右する

 そもそも建築工事というのは、騒音や埃などで周囲に大変な迷惑をかける行為です。工事車両が出入りすれば、道路の通行に支障が生じるかもしれません。とくに仕事の休日が平日の住人には、せっかくの休みを台なしにする厭わしい迷惑行為にほかなりません。
 かつては「家をつくるときに多少うるさいのはお互い様だから......」と理解し合う風潮が一般的だったのですが、今の時代は、そう思わない方も増えてきています。
 そのため、依頼する業者が近隣にどれだけ配慮できるかが、いかに重要な問題かが理解できるでしょう。
 工事をきっかけに隣近所との関係が険悪なものになってしまったら、今後の近所付き合いにも確実に悪影響を及ぼします。これではせっかくのマイホーム生活が台なしになってしまいます。

「普段の現場」を見学しておこう

 大切なのは、業者の根本姿勢を知ることです。
「工事が始まる前には近隣にあいさつをしている」というレベル以上の取組みを行っている会社があります。
 ちなみに、この点で成功している大手メーカーもあります。
 同社は、現場の周辺に「工事中ご迷惑をおかけしています」というチラシを徹底して配っています。もちろん、チラシだけでなくあいさつも徹底していると聞いています。
 仮に工事に影響のないお宅にチラシを配ったとしても、「この会社は近隣にきちんと配慮している、よい会社なんだ」という印象が生まれます。
 これは新規のお客様を獲得する上でも、有効に働いていると言えそうです。
 私たちも、近隣の方には常に「○○工事でご迷惑をおかけします」というチラシを手にあいさつは欠かしません。「そこまでしなくても大丈夫ですよ」と言われることも多々あります。
 しかし、それをすることで少しでもお施主様にとって立場がよくなればという想いで取り組んでいます。「最近の職人さんは、しっかりあいさつしてくれるのですね」と言われたりもします。この近隣にお住まいの方々への配慮がいかに大切かは、こうした実際にいただくお声からもわかります。
 いずれにせよ、その業者の普段の現場をチェックすることが肝心です。現場を確認したい場合は、

「近くで工事をしている案件はありますか?」

 と聞けば、たいてい教えてくれるはずです。
 イベントとしての「現場見学会」の場合は、そのときだけの綺麗な現場を見せられている可能性もあります。
 しかし、日常の現場は、工事が長期間にわたるので、一時期だけ取り繕うことはできません。配慮の有無は日常の現場に表れるということをしっかり認識しておきましょう。