あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第三章 業者選びのポイント3 マナーの善し悪し


家づくりへの『想い』はお客様対応に表れる

 イベントやセミナー、あるいは商談時など、初めてその業者と接触した時のスタッフや担当者の態度をきちんと観察しておきましょう。その人の持ち物やちょっとした振る舞いから『どういう心構えでお客様と接しようとしているのか』が見えてきます。
 例えば私の会社では、安価なペンをお客様の前では使用しておりません。お客様との商談では、ある程度の高級ペンを使用してます。それが、一生の買い物をご相談いただいている上での礼儀であると考えているからです。

 また、お客様のお宅にうかがった際は、玄関で靴をそろえるのは当然として、そこに置いてある他の靴も当然、そろえるようにしています。
 また、印象のよいあいさつやお客様への感謝の想いなどを共有しています。

 こういった細かいところまで含めてのマナーであると思うのです。『自分がお手伝いしているのは、お客様の一生に一度の買い物である』という意識があれば、そこまで細かい部分に神経が向かうということです。

 すぐれた会社からは、あいさつや雰囲気からしてよい印象を感じることが出来るはずです。型にはまったマナーというより、その人の意識に注意を払って下さい。

  一人で事務所を構えている職人さんなどで教育の仕組みがない場合でも、もしかすると言葉は丁寧語ではないかもしれませんが、話していると仕事に対する『気持ち』が伝わってきたりするものです。たとえ一人で営業していても、とても人気がある業者さんもあります。それは、お客様へのしっかりとした想いがそうさ せているのでしょう。そういった雰囲気も含めて評価してみましょう。

現場でのマナーにも会社の姿勢が反映されている

 ちなみに優良会社と呼ばれる会社は、社員10人前後の小規模な所帯でも社員教育を行っているという現実があります。
 小さな会社では、大手ハウスメーカーのような教育システムを確立するのは経済的にも難しいかもしれません。それでも、経営者に理解があれば、何らかの努力はしています。自社での教育が難しければ、他社でのマナー講習を受講させるなどの取り組みを行っています。また、マナー教育に投資する余裕があるということは、その会社の財務状態 も健全であろう、という判断も出来ます。

 優良な会社が手掛ける現場では、現場の職人さんのマナーもしっかりしています。

 私の会社と関係する協力業者も、突然現場に来られたお客様から質問を受けて、親身にお答えしています。すると、『あの現場の職人さんの対応がすごくよかったので、家づくりをお任せしたい』というお声をいただくことがあります。

 また、現場のみならず、近隣住民への配慮もマナーとなります。近隣にお住まいの方を配慮することで、『あの業者さんはとても気を配ってくれる』などの評価が広がります。

 それから現場では、玄関にお客様の顔写真と『お客様の大切な資産です。大切に扱いましょう』というメッセージを掲示しています。

 この大事なお客様から仕事をいただいている、ということをその作業に従事する全員が毎日認識するためです。ご施主様を想う事で、無意識に出る自然な行動こそが最も大切なのです。

求めるサービスレベルに妥協はいらいない

『家は高額商品だから、信頼できる人から買いたい』というのは、お客様の偽らざる本音でしょう。ただ商品を買うだけでなく『気分を良くしてくれた代償として、お客様はお金を払う』ということでもあります。

 家は人生最大の買い物ですから、当然最高のサービスを求めるべきです。

 どんなに予算が低いと言っても、他のどんな買い物よりも高額なのですから、予算の額などは関係ありません。求めるサービスのレベルについては、何も遠慮する必要はないと思います。

 世の中を見渡せば、お客様を店の外まで出てお見送りするラーメン屋さんがあるようです。一杯のラーメンを扱うだけでも、そこまでしているところがあるのです。

 『顧客満足』に対して遅れている住宅業界ではありますが、先進的な取り組みをしている会社もたくさんあります。ぜひ、時代に対応できるマナー基準があるかどうかをチェックしてみてください。