あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第二章 家づくりに最適な『季節』を知っておこう


 同時に、もっと細かい視点からスケジュールを考えてみましょう。

 例えば、家を建てる『時期』についてです。日本の家づくりでは、雨の降る時期をどう考慮するかという問題があります。

 東京の場合、一番降水量の多い時期は9月です。次に梅雨シーズンの6~7月、10月がそれに続きます。
 木造在来工法住宅の場合、柱や梁などの組み立てがすんでから、屋根の一番上の部材である棟木を取り付ける『上棟』という作業があります。これは雨の多い時期を極力避けるのが望ましいと言えます。

 木部や合板を濡らすと、腐ったりカビが生える原因となります。当然、品質も低下してしまうので、雨には十分配慮しなければならないのです。

 ちなみに、コンクリートを打っている時に雨が降ると品質が落ちるのでは、との質問をよく受けますが、それは問題ありません。また基礎の鉄筋が錆びていると ダメなのでは、とも心配されますが、反対に鉄筋が錆びているとコンクリートが付着しやすくなるという利点があったりします。

 また、夏場では、基礎を打って土間をつくり、コンクリートの床を仕上げようとすると、一瞬で固まってしまいます。そのため、たくさんの作業員を投入しなければならず、作業が難しくなります。逆に真冬でも温度により適さない状況もあります。

 その意味でも、年間を通して、どういう建築スケジュールを組むのかというのが重要になってくるわけです。私は、もろもろの条件を考えると、春から秋、秋から春というパターンがベストだと思います。これは寒冷地などではまた異なってきます。

余裕を持ってスケジュールを立てる

 あとは、この時期的なスケジュールに、お子さんの受験や仕事の都合といった家庭の事情をどう組み合わせるかです。ここでのポイントは、余裕を持つということです。

 例えば、学校の入学に合わせて家の完成を目指すとします。その場合、入学と引っ越しとでかなりバタバタしてしまうので、3月ではなく2月をめどにしよう、などと考える。

 でも、2月に前倒しすると、受験に影響が出てしまうので、年末には引っ越しをすませたい、などと、それぞれの家庭の事情によってスケジュールを組むことです。

 いずれにせよ、余裕のないスケジュールはよくありません。想定される期間よりもプラス1~2か月ぐらい余裕に考えておくぐらいがちょうどよいと思います。

 とくに高齢者の方は、引っ越しで苦労されるケースが多々見られます。建て替えの場合、思い出が詰まった品の整理がつかなくて、着工予定が過ぎてもまだ片付いていない、解体屋さんが来る日になっても片付けが済んでいない、という話も実際にありました。

 私がお薦めしているのは、引っ越しは大変なので、3~4ヶ月かけて普段のゴミ出しを通じて片付けていきましょう、ということです。順調に片付けが出来ている方は、打ち合わせでお宅を伺うたびに、荷物が減っていくのがわかります。一気に整理しよとすると、処理が大変で体への負担も相当なものです。このように 徐々に荷物を減らしていくのが理想です。高齢者の場合は、引っ越し作業の疲れから体を壊す場合があるので要注意です。