あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第二章 成功のポイント1 情報収集


 家づくりを成功させるための具体的なポイントを5つに絞ってご紹介したいと思います。

 1つめは、なんと言っても『情報収集』です。
 家づくりに失敗する人の多くは、必要と思われる大切な知識を持たないまま、一生に一度の大きな買い物を安易に進めてしまう傾向があります。

 私がそれを実感するのは、住宅の勉強会でお客様と接するときです。勉強会には、すでにある程度の知識を身につけている方もいれば、まったくの初心者もいらっしゃいます。
こういった場でアンケートを取ると、初心者の方は、本当に家づくりについて圧倒的に情報量が少ないことがわかります。

 例えば、新築の家は半年ほどで建つものと思っている人がいます。自社で使用しているスケジュールシートをお渡しして『準備を含めると、短くても1年はかかります』とお伝えすると、びっくりされるパターンもあったりします。

 あるいはハウスメーカーの住宅展示場にどれくらいお金がかかっているのか、というのもほとんど知られていません。
展示場に展示してある家は、それなりの仕様でつくっているため、実は一棟にかなりのお金がかけられています。建築業界では常識なのですが、一般の人はそういった事実に疎いため、あのような家が標準だと思う人もいます。

情報は集めるだけ集めたほうがよい

 私がお伝えしたいのは、情報は集められるだけ集めたほうがよいということです。

 質の良い情報を得られるかどうかは、どれだけ情報を集めたか、その量によって決まります。ここで言う情報とは、パンフレットやチラシなどの一般的な情報に限りません。自分で業者の方に直接質問をしたり、実際に家づくりの現場を見学したりして得た情報も含みます。

 情報量が増えることで、良い情報も、あまり良くない情報も収集されますので、選択枠が増えます。

 悪質リフォームや太陽光発電の詐欺まがいの訪問販売などが問題となっていますが、情報が少ない人は自分が騙されたことにさえ気付いていないことがあります。

 知らないうちに、通常よりも数百万円も余計に請求されてしまうという危険もあるのです。騙されないためには、自分自身でそれなりの知識を身につけるほかありません。

 主な情報源には、書籍、インターネット、チラシ、見学会、住宅に関するイベント、会社への訪問、現場の確認、セミナー、建てた経験者から話を聞く、建築を仕事としている人に話を聞く、などといったものがあります。

 私は、見学会に参加されたお客様に『家のことを集中して考えられる時間は、実際には限られているんですよ』とお話ししています。
 『家をつくろう』『見学会に参加してみよう』と思い立った時にはテンションも上がっているのですが、日常生活に戻ると忙しさにかまけて、一般的には休日のごく限られた時間しか、家づくりについて考える余裕がありません。

 私は、ある程度ゆとりを持って、情報収集に最低1年間は確保しておくのがよいと考えています。1年というと長いようですが、実際に家づくりを計画しているとあっという間に過ぎてしまうものです。