あとで後悔しない「いい家」の建て方 BESTHOUSE

第一章 まずは住宅業界の実情を知っておこう


 家づくりをめぐっては『知らないから問題になる』パターンが多く見られます。お客様は、家づくりにどういう失敗があるのかを知りませんし、業界が遅れているということも知りません。

 現在では、ほとんどのサービス業で『顧客満足』という言葉を耳にするようになりました。お客様は、普段から高いレベルのサービスに慣れ親しんでいるのに、建築業界では、まだそこまでのレベルには達していない。

 そのため、お客様が当たり前にやってくれるだろうと思っている期待に、まだまだ応えることができていない。

 逆に言えば、建築業界の実情をちょっとでも知識として身につけておくだけで、大きな問題はほとんど回避できるのではないかと思います。

準備次第でトラブルは必ず回避できる

 私は自社でセミナーを開催することがあるのですが、そこでもっとも重視しているのも、とにかく『知っておいてほしいということ』を伝えるという姿勢です。

 『別にうちの会社で家を建てなくても構いません。セミナーに来たからには、これは役に立ったという情報を持って帰ってください』
私は参加した皆様に対して、毎回こう伝えるようにしています。

 本書も、家づくりを考えている人に対して、ぜひ知っておいていただきたい情報を伝えることを目的としています。

  もちろん家づくりを考える方は、インターネットや書籍などを通して一所懸命情報収集に努められているとは思います。
 しかし重要な情報は、すぐれた設計デザインや素材、間取りについてのものばかりではありません。

 大切なのは『家づくりの過程で起きる問題は何か、なぜその問題が起こってしまうのか、どうすればそれを回避することができるのか』を知っておくことです。家づくりで起きる問題を事前に知っていれば、必ず対策を講じることができます。

 こういう視点で情報を集めれば、確実に家づくりで失敗することは少なくなるでしょう。

良い業者と出会うのがベストだ

 かつて消費者は、物を買って単純に対価を支払うだけでした。しかし現在は、ただ物を買うのではなく『誰から物を買うのか』が問題となり、更に物を買うことで『心の充足を求める』時代になっています。

 建築業界も例外ではありません。時代の変化に合わせて、建築会社は良い方向に変わりつつあります。実際に受注棟数を伸ばしている会社、今の時代に支持されている会社の多くは、心の充足を満たすための仕組みを確立しています。

 あなたが家をつくるにあたっては、失敗を回避するのはもちろんのこと、将来的にも付き合っていくにふさわしい会社と出ってほしいと思います。

 本書では、一般に手が届きやすい木造のマイホームを建てるケースを念頭に置きながら、必要な知識を順を追ってご紹介していきたいと思います。